囲碁ソフトが人間を越える日

囲碁ソフトが人間を越える日
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 この前と有るアニメのレビュー記事でチェスなら人間にも勝てる物を作れるけど囲碁じゃ無理なんて書いたばかり。そんな時にこんなニュース記事がYahoo!ニュースにあったので取り上げてみたり。
 コンピューターソフト同士がチェスや将棋、囲碁などの“腕”を競う「第15回コンピュータ・オリンピアード」が来秋、初めて日本で開催されることになり、5日午前、会場予定の石川県能美市北陸先端科学技術大学院大学で調印式があった。注目は、人間の世界チャンピオンに勝ったチェスやオセロに比べ、「大局をみる」人間の方が有利とされてきた囲碁ソフト。今年の同大会囲碁部門では、新たな日本製プログラムを搭載したソフトが初優勝し、期待を集めている。

 ■大局観より確率を重視■  9月中旬に発売された“史上最強”をうたう対局ソフト「天頂の囲碁」(発売元・毎日コミュニケーションズ)。5月の「コンピュータ・オリンピアード」(スペイン)で優勝した思考エンジン「Zen」を搭載し、アマチュア三、四段の実力があるという。

 強さの秘密は、数年前に登場した計算方式「モンテカルロ法」だ。従来のプログラムは、盤上の局面の大きさを判断したのち数手先の読みを加える、人間に近い考え方だった。一方、同法はある局面でどう打てば勝ちにつながる終局にたどりつけるかを、コンピューターに数十万回計算させ、最も勝率の高い一手を選ぶやり方。「大局をみる」囲碁の考えを排除し、確率を重視することで大幅な“昇段”を遂げた。発売元では「相手を気にせず長考したい60代以上の方が購入されているよう」と話す。

 ■10の360乗通り…■  コンピューターソフトはここ10年ほどで、一気に力をつけた。1997(平成9)年にはチェスの世界王者カスパロフ氏(ロシア)を、IBMが開発したスーパーコンピューターディープ・ブルー」が2勝1敗3分けで倒した。将棋では平成19年、当時22歳のタイトルホルダー・渡辺明竜王を将棋ソフト「ボナンザ」が公開対局で苦しめ、「あと何回か指せば、負けるだろう」と言わしめた。

 計算では、初手から最終手までルール上指せるすべての手はオセロが10の60乗通り、チェスは10の120乗、将棋は10の220乗。いずれも天文学的数字だが、「先読み探索」や「局面評価」と呼ばれるコンピューターの思考法でトッププロに近づくまでになった。

 ところが、19×19の地点に原則どこでも打てる囲碁の局面は、最終手まで10の360乗通り。加えて「その局面での一手が正しいかどうかは終局しないとわからず(打った段階での)局面評価は通用しない」(飯田弘之北陸先端大教授)といい、囲碁ソフトのレベルは級位止まりだった。ある現役棋士も「部分的な詰め碁などでは正解を弾き出せても、広い19路盤では大局感が必要。データを蓄積しただけのコンピューターにプロが負けるとは考えられない」と断言する。

 ■王九段「パワーは無限大」■  ただ、今夏、イベントで実際に対局した王銘●(=王へんに腕のつくり)九段は「従来のソフトは読み切れる局面で力を発揮したが、(天頂は)読み切れないような難しい局面で力を発揮する。秘めているパワーは無限大」とその進歩に驚いた。飯田教授も「以前は2050年くらいといわれていたが、モンテカルロ法の出現で、あと10年前後でプロに近づけるのでは」と予測。オリンピアードの日本開催で、開発者側の“打倒プロ棋士”に弾みがつきそうだ。
囲碁ソフト、あと10年で人間を破る?):産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091005-00000544-san-soci

 将棋、囲碁、チェス、オセロなどテーブルゲームの代表とも言えるゲーム達。人間からすれば似た様に見えますがコンピューターにとっては非常に難易度が違うものだったりします。この中で最もコンピューターが得意とするのはチェス。欧米ではメジャーなテーブルゲームだから強くなったってわけでは有りません。チェスと似たゲームに将棋が有りますが将棋の方が難易度的には高かったりします。

 チェスと将棋の違い。一番大きな点はチェスが取られた駒は二度と盤上に上がらないのに対して、将棋は相手から取った駒を自軍の駒として再利用出来ることですね。チェスは相手の駒を取り除いて行き最終的にキングを追い詰めれば良いと言う物。勝利に辿り着くのに必要なのは如何に効率良く障害(相手の駒)を取り除きキングに辿り着くかってこと。物事を効率的に進めるのはコンピューターの得意とするところですから向いてる仕事です。将棋は駒の貼り直しが出来る分それだけ複雑になりますがチェスよりパターンが増えるだけでやってることは同じ。敵の駒を効率良く排除して王将に辿り着けば良いだけです。

 初手から指せる手はニュース記事にも有りますがオセロが10の60乗通り、チェスは10の120乗、将棋は10の220乗だそうです。そんなわけでどれが一番コンピュータにとって簡単で有るかは夫ゼロ→チェス→将棋となるのは当然の事。計算するパターンが少なくて済みますからね。

 そして肝心の囲碁。指せるパターンは10の360乗通り。これだけなら天文学的数字ですけどチェスの拡大で行けると思いがち。しかし囲碁をやったことが有る人なら解ると思いますがチェスや将棋とは違って囲碁は全く違うゲーム。倒すべき目標となる王将やキングは有りません。囲碁は簡単に言うと陣取りゲームでして自分の石で効率良く陣地を取り囲むのが目的です。なので1手目には絶対に刺さない場所が存在します。チェスや将棋が基本的に1手目は何処を動かしても平気なのとは違うんですよね。しかも刺した手が正しいかどうかはなかなか結果が出ないのでチェスや将棋みたいな局地評価も出来ないんだそうです。

 実際に今まで私も囲碁ゲームはいくつか買った事が有ります。私の棋力は中学の時とかにやっただけなので1級止まり程度(初段の手前)。その程度の実力でも最強ソフトと呼ばれる物を相手にすると余裕勝ちです。コンピューターに対してハンデ付けても勝負にならないレベルでした。そんなわけですからプロが相手して負けるなんてことは有り得ない感じでした。

 なんでもこの新しいモンテカルロ法というものは大局を見る様な人間と似た様な思考法を捨てて勝つ確率だけを重視した打ち方をさせるんだそうです。あくまでコンピューターの得意な部分を活かしたやり方なのかも知れませんね。ただそれたけで人間を越えられるんだろうかなあ。

 人間のプロだと100手先までの手を数10パターン読んだりする事もあるそうです。私程度でも30手先程度は数パターン考えたりします。同じことをコンピューターにやらせる事も可能なんでしょうけどそれをやれば思考時間は掛かるだろうし、終局まで読み切るなんてのコンピューター同志の戦いならともかくどう打つか解らない人間相手だと難しそうです。此所に打つのが勝利の確率が高いとして打つにしても人間の様に経験を蓄積出来なければ毎回同じ様にしか打てない気がするなあ。

 昔の囲碁ゲームでは何度やってもこっちが同じところに打つとコンピューターも毎度同じ風に打つから勝つのは簡単だったんですよね。人間みたいに成功や失敗の経験を蓄積出来るシステムにしないと人間を越えるのは難しいんじゃないですかね。チェスや将棋と違って計算で割り切れる試合ばかりじゃないのが囲碁なんですよね。なので私的には10年後には今よりは強くなるだろうけど人間を超えるほど強くなるとは思えない私が居ます。でも今の最新ソフトなら私程度よりは強いんだろうなあ。